第12章 昇格試験
危ないところでございましたわ。
もちろん、ディナント様が連れていらしたお方ですから間違いはないのでしょうけれど…。
貴族は建前上、婚前交渉できません。
建前上、ですけれども…あの旦那様が許すはずもございません。
ジョエル様がそう簡単に体を許してしまうとも思ってはおりませんでしたが、このままでは時間の問題。
美しいジョエル様は結婚相手”候補”には苦労いたしませんでしたが、結婚相手となると話は別です。
きっちりと順序を踏んで頂かなくては。
シドリアン様の妨害がなければいいのですが…ファンドレイ・オーランジ様は…頼りなさそうで不安ですわ。
ディナント様とプレイラ様が動いて下さるとは思うのですが…。
侍女としてジョエル様の貞操を守りはしましたが、その判断が本当に正しかったのか。
私はしばらく悶々と悩むことになってしまいました。