第9章 届いた手紙と蝶々結び
ファンドレイ様
お許しを頂きましたので、気の短い女と思われるかもしれませんが、早速こうして筆を取りました。
いかがお過ごしでしょうか。
昨日は緊張してしまって、満足にお話しすることができず、とても残念に思っております。
ファンドレイ様に――呼び捨てで良いとおっしゃっていただきましたが、どうにも慣れませんので、どうかこのままで――見つめられると、胸がどきどきしてしまいます。
今も…ただ手紙を書いているだけなのですが、これがファンドレイ様のもとに届くのかと思えば、封筒の中に入れはしないものかしら、などと夢のようなことを考えているのです。
変な女だとお笑いになるでしょうか。
けれど、あたくしは至って真剣なのでございます。
このような感情を持ったことは初めてなので、どうすればいいのかまったく見当もつきません。
ただ、もう一度お会いしたいと思っております。
近日に執り行われるサンテベドリ伯爵家のパーティーには参加されますでしょうか。
ファンドレイ様にお連れ様がいらっしゃらないようであれば、少しお時間頂きたく思います。
良いお返事を頂ければ良いのですが。
お手数ですが、プレイラ様を経由して下さいませ。
直接やりとり致しますと、面倒なことが起きないとも限りませんので。
ジョエル・スブレイズ
追伸
ファンドレイ様は蝶々結びが苦手でいらっしゃいますか。