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【R18】君は華より美しい(仮題)

第8章 売られた喧嘩~ファンドレイ視点~


「――これくらいで大丈夫ですか?」
「…もう少しだけ、きつくても大丈夫ですわ」
「…このくらいでしょうか」
「ええ…」

 女のドレスの紐なんて、結んだことがない。
 どれくらい締め付ければいいのか全く分らないが、苦しいよりはいいだろう。
 ファンドレイはささっと紐を結んだ。

「立てますか」
「えぇ、ありがとうございます」

 ジョエルを立たせ、ファンドレイも身なりを整える。
 ドレスの背の紐を引っ張ったりしている内に、下半身が落ち着いてくれたのはよかったかもしれない。
 勃起したままではさすがに戻れないからだ。

「ではジョエル様。お先に失礼いたします」

 ファンドレイは一礼してジョエルに背を向けようとした。

「お、お待ちになって…!」
「…何か?」

 ジョエルの必死そうな声に呼び止められて、ファンドレイは振り返る。

「あ、あの、ファンドレイ様…」
「…ファンドレイ、で構いません」
「あ…そう、でしたわね」
「今度は…いつ、お会いできますかしら」

 小首を傾げて、まるで小さな子どもが「今度いつ遊びに来てくれるの?」とでも言うようにジョエルが尋ねてきた。
 あざとい、それなのに、もう目が離せない。
 甘美な罠にハマったのだ。

「――ジョエル様がお望みになるのなら、いつでも」

 うっとりとファンドレイを見ていたジョエルの瞳は、今はもう落ち着いていた。
 じぃっと見つめられて、ファンドレイはその居心地の悪さに眉を顰めた。

「では…お手紙を差し上げても…?」
「もちろん…お待ちしております」

 手袋の上から、手の甲に口づける。
 こうしてファンドレイはジョエルの遊び相手になった。
 



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