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【R18】君は華より美しい(仮題)

第4章 知りたい


「じゃあ、何を知ればいいの?」
「えー、えと、家族構成とか…?」
「両親でしょ、おばあ様がお二人でしょ、お兄様、お姉様が二人居てファンドレイ、そして妹よ」
「あ、じゃあ、その、好きな食べ物は…」
「鴨肉のソテーだったと思うわ。ケーキも食べるけど、甘すぎるものは苦手よ」
「嫌いな食べ物…」
「魚ね」
「す、好きな色とか」
「んん…白かしら。そんなに拘りはなかったと思うけれど」
「えーっと…あ、そう、趣味は…」
「馬の遠乗りね。ジョエルも乗せてもらえばいいと思うの」
「うぅぅ……」

 全てに回答されてしまい、ジョエルは恨めしげな声を上げる。
 プレイラはそれがおかしくてクスクス笑った。

「一番重要な質問がまだなんだけれど…」
「え…? あっ…ファンドレイ様の女性の好きなタイプ…?」
「そう、それよ! ファンドレイはね、お喋りさんが苦手なの。あとね、いつもニコニコしている人。何を考えているのかわからないから、って」

 ジョエルはそれを聞いてうむむ…と考え込むように左手で頬を押さえた。

「質問は終わりかしら…? それならこれでもう問題ないわよね」
「そ、そういう問題ではなくて…!」
「んもう! じれったいわ! ジョエル、あなたはファンドレイが好きなのよ。他の人に渡したくない、って思うほどにはね。それに、本当に嫌ならあなたは最初から私の提案を拒否しているはずよ。でもそうしないということは、なんとなく自分でも気づいているんでしょう?」

 プレイラに一気に巻くしたてられて、ジョエルは手近にあったクッションを掴んで顔を押し付ける。
 くぐもった声で、「そんなの」「でも」「だって」を繰り返す。

「……もしかしたら、私がファンドレイと婚約する可能性もないわけではないわ」
「えっ?!」
「嘘よ」
「うぅ…酷いわ、プレイラ…! あたくしで遊んでいるでしょう…!!」

 自分はプレイラのように積極的ではないし、物事をすぐに簡単には決められない。
 何が正解かわからないのに、どうしていつも迷わず進めるのか。

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