第1章 紫の奇跡
あれから松本くんとはラインもしてないし、
塾もお休みだったし。
そしてまた週に二回の塾の日。
松本くんも来てたけど、
離れた席だし話すことはなかった。
でも、誤解されたままなのはいやだ。
帰りになり、声をかけてみた。
「松本くん!あの。話があるんだけど。」
呼んではみたものの、他の人の視線を集めてしまった。
恥ずかしくて赤くなって俯く。
すると、何も言わずに松本くんが
私の手を引き、エレベーターに乗り込んだ。
「松本くん、あの!この前のは誤解だから!
あれは、お兄ちゃんなの!!」
勢いで伝えると、
松本くんは驚いた顔でこちらを見て、
松本「え、お兄さん!?え!!」
状況を整理しようと、
ブツブツ言っている。
松本「俺てっきり…!いや、ならいいんだ。」
エレベーターが一階に着くと、
松本くんがカバンをゴソゴソ。
「なにか忘れて来た!?」
松本「いや、違くて…これ。」