第8章 トト子がいちばん!!
——いよいよディナーショーの開演時間。
魚の被り物をした今夜の主役がステージに上がる。
スポットライトを浴びたみんなのヒロイン兼アイドルトト子は、内面はさておきやはり可愛い。
黙ってれば可愛いのだ。黙ってれば。
ゆっくり深呼吸をしてから、トト子は客席に向かいその愛らしい声をマイク越しに届けた。
「みんなー!今夜は来てくれてありがとーー!!」
「うぉーーっ!!トト子ちゃあぁぁあんっ!!」
「今夜はサイコーーーッ!!」
客席は一気にヒートアップする。
「じゃあ早速新曲から歌っちゃいまーーす!!聴いてください、卑しい淡水魚…ってこのタコどもーーーーーッ!!!!」
——ゴン!キィィーーーンッと、耳をつんざくあのノイズ。
「え…?」
固まる「六」人。
ステージに虚しく転がるマイク。
「なーーんでまたテメーらしか客がいねえんだ!?あんゴルァァア!!集客したんじゃねぇのかボケェェェエ!!」
トト子はズカズカとステージから降り、おそ松の胸ぐらを掴んだ。
「ご、ごめんってば!でも四万って料金設定じゃ集客ムリだっ…ア"ーーーーッ!!」
弁解の余地なく、電気アンマをモロにくらい白目を剥くお粗末な長男。
(オーマイゴッド!!なんたるバイオレンス…!!)
次は自分が殺られる番だと瞬時に悟ったカラ松は、冷や汗をたらしつつ必死にトト子を宥める。
「トト子ちゃん!怒った顔も可愛いが、とりあえず落ち着こうじゃグフゥッ…!」
案の定、カラ松は一撃必殺のボディブローで再起不能。