第8章 トト子がいちばん!!
「よーしお前ら!アレやるぞアレ!スタッフがライブ前に集まってなんかテンション上げるヤツ!!」
「円陣でしょ?じゃあほ、ほほほら、ゆめ美ちゃんも並んで?」
「あ、うん」
ゆめ美がチョロ松の左隣りに移動すると、すかさずおそ松がチョロ松の肩を押して割って入る。
「チョロ松。トイレ行って洗ってない手でゆめ美ちゃんに触んなよ」
「うそつけお前!?指紋無くなる勢いで擦り合わせて洗ってるわ!!」
「洗わなくても洗ってなくてもカンケーねーんだよ!要は邪魔だっつってんの!」
「何意味を重複させてんの!?洗ってるから!!」
二人は互いの両手を掴み合いながらいがみ合いを始めた。プルプルと腕を震わせて両者一歩も譲らない。
「おぉー!プロレスすんのー?」
「しないよ十四松兄さん。もー二人とも何してんの」
「しょーもないザンスねー!チミたちは喧嘩しないと会話が出来ないザンスか?」
兄二人が醜く取っ組み合っている最中、痺れを切らした一松がボソリと呟いた。
「あの…リハーサルは?」
「ほんとだ!もうこんな時間!」
ゆめ美は一松の言葉にハッとし、二人の間にするりと入り込んだ。
「ほら!もうトト子がリハーサルで来ちゃうよ!仲良くして?ね?」
そのまま二人と肩を組んでニコリと微笑みかけると…
「はーーいっ!!」
喧嘩なんて瞬時に無かったことになった。