第8章 トト子がいちばん!!
「ははは、みんな楽しそうだねぇ」
「伯父さんごめんなさい、騒がしくしちゃって」
「賑やかでいいじゃないか。ええと、トト子ちゃん、なんとなく会話が聞こえてきて、気になったんだけどね?」
「はい…」
しょんぼりうなだれるトト子を見つめ、店主はふわりと微笑んだ。
「私も力になりたいと思ったんだ。そこでだ、ゆめ美ちゃんは嫌がってるからアイドルは無理だけど、よければうちの店で一回ディナーショーでもやってみないかい?」
思いもよらぬ店主の提案に、トト子は顔を上げて大きな瞳をパチリと瞬かせる。
「ディナーショー?ディナーショーって、前にAKTK48の刺腹がやってたあのディナーショーですかー?」
「ああ。私も思いつきだけどね。魚忠から仕入れた魚を使った料理とトト子ちゃんの歌でディナーショーなんて、名案だと思わないかい?」
もじもじと目を伏せるトト子。
「でもぉ、そんな急に言われてもぉ…」
「大丈夫だよ!トト子ちゃんすっげー可愛いからお客さんわんさか集まるよ!」「はーい私やりまーす!!」
十四松が励ますと、トト子は手を挙げて即答した。
そんなこんなで、店主のきまぐれもとい閃きにより、一ヶ月後にここアカツカ亭で、魚忠の宣伝も兼ねた完全予約制の弱井トト子・ディナーショーが開催する運びとなった。