第8章 トト子がいちばん!!
ランチタイムが終わったタイミングで、トト子と六つ子はアカツカ亭にやって来た。
ゆめ美が友人達を店に入れても良いか店主に尋ねると、店主はこの間の一件で六つ子のみんなを大層気に入ったらしく(気が合うとかなんとか)、ディナータイムまでのんびりしていいと快く迎えたのだった。
それはよかったのだが…
「え"ーーんっ!!もーいいー!!どうせトト子なんて売れっこないもーーんっ!!」
昼のライブが集客クソニートのみだったトト子は、テーブルに頬をつけ泣きじゃくっている。プライドを傷つけられひどく落ち込んでいるようだ。
アイドル衣装のまま来たせいで、店がほんのりと魚臭いのなんて御構い無しである。
以前、ゆめ美はトト子に頭の被り物を見て「なんで本物にする必要があるの?」と質問を投げかけた際、「実家の魚屋の為に本物志向でいきたいから」と答えたとかなんとか。
なので、それ以来ゆめ美はトト子の被り物については何も触れないようにしている。
「あの…応援に行けなくてごめんねトト子。予約のお客さんがいたからお店抜けられなくて…」
「別にいいもーーんっ!!ゆめ美が一人増えてもそんなに意味ないもーーんっ!!」
「そ、そうだね。でもこの次は行けるようにするからね」
七人にコーヒーを淹れて、ゆめ美もレジ横の二人席に座った。
黒地に"I♡トト"と書かれたTシャツ姿の五人と、グリーンのスーツにハッピ姿のチョロ松は、トト子を気遣うようにあれやこれや慰めの言葉をかけ始める。