第2章 出会っちゃったのだ!!
「名前はー?」
すかさず尋ねる十四松。
「あっごめん言い忘れてた。これ葉ゆめ美です。憶えてないよね…」
六つ子は、遠い小学生時代の記憶を手繰り寄せ、あれやこれや頭に並べまくる。クラスメイトの顔、運動会、林間学校に修学旅行…だけど、なかなかゆめ美のことを思い出せない。
そんな中、一人ほくそ笑むのはトド松だ。
(よっしゃーーっ!!チョロ松兄さん脱落ー!向こうが覚えてるのに自分が忘れてるという最悪パターーン万歳!!)
「はじめまして」をつけて名乗ってしまったので、チョロ松の印象は急降下したに違いないと、トド松は心の中でガッツポーズを取った。腹黒ドライモンスターは今日も絶好調だ。
(てかボクも覚えてなかったけど、ここは上手く話を作って…)
口ごもる兄達を他所に、トド松は後ろ手でニコニコしながらゆめ美とトト子の前へ立つ。
「えへへっ、久々でビックリしちゃった!ボクは末っ子のトド松!ゆめ美ちゃんってクラス一緒になったことあったっけ?確か小五の時…」
「はぁ?ゆめ美は小三で最玉に引っ越したでしょ?」
(ミスった。兄さん達のイメージダウンに変更)