第6章 一番強いのはぼくだよ!!
「……」
次の一松が無言で置いたのはハートとダイヤの10だ。
「パーース!!」
「ちぇーっ、パス」
十四松とトド松はパス。
チョロ松はニヤけそうになったが、まだ開戦直後なのを思い出し気を引き締めた。
(次はゆめ美ちゃんか…。さぁ何を出すかな?)
ゆめ美が出したのはハートとスペードのQ。
(ぃよしっギリギリ僕より弱い!このまま僕の番まで持ち堪えてくれーっ!)
と、祈っていたチョロ松だったが…。
「あら、ゆめ美ちゃんざーんねーん。しばりだからハートとダイヤで出さないと」
「そっかぁー、じゃあパス」
(な、なんだって!?しばってたの!?)
チョロ松の思惑通りにはいかなかった。
「しばり」とは、同じマークが2枚連続で出されると、以降の人はそのマークのカードしか出すことが出来なくなるというものだ。
場が流れるとその制限は消滅する。
複数のカードが同時に出されている場合は、マークの組み合わせが一致していないと、しばりは発生しない。
このまま流れて一松から始まるかと思いきや、
「はいしばり〜」
おそ松はやってのけた。
しばりであるハートとダイヤのAを出したのだ。
「フン、パス」
「僕も無理。パス」
自分の番が訪れ、ニタリと薄気味悪い笑みを浮かべる一松。
「ん?まさか…お前…!?」
「ほぉーーらくれてやるよおぉぉおっ!!」
パシンと置かれたのはハートとダイヤの2。
「マジか!?」
「言ったでしょ?勝ちは譲らないって…」
一松の残されたカードは三枚。
ここから大富豪まで一気に駆け上がれるかどうか、彼の腕の見せ所である。