第6章 一番強いのはぼくだよ!!
ゆめ美が席に着き、いよいよゲームスタートだ。
「ダイヤの3は………………オレだ!」
無駄に三秒溜めてから、カラ松がカードをちゃぶ台の上へ置いた。
補足説明すると、ゲーム開始はダイヤの3を持つプレイヤーからなのだ。
ちゃぶ台を囲む七人の並びは、時計回りに兄弟順である。
そして、トド松とおそ松の間にゆめ美は座っている。
「なに力んでんの。まだ一回戦だよ?」
そう言いながらもチョロ松が出したのはハートの8。
「早速8切りとか早漏かよ〜」
おそ松が言う「8切り」とは、8を出すと強制的に場が流れ、出した人が新たにカードを出すことが出来るという特殊ルールだ。
8を複数枚出した時でも成立するが、8を含む階段では成立しない。
"場が流れる"のは大富豪においてとても重要だ。
自分の流れを作り、カードを減らしていくことがこのゲームの要なのである。
「女の子の前で下ネタぶっこむなバカ!はいさくさく進めるよ!」
そう言って、チョロ松は自身の手札へ視線を注いだ。
(僕の手札は残り七枚。うち、二枚組が5、Kか…。これはいける!いけるぞ!)
大富豪をやるのに適した人数は四〜六人と言われている。
七人でやるとなると一人当たりの手札の枚数が少なく、七枚が三人、八枚が四人となり、戦略より引きの運が必要となってしまうからだ。当然、手札が減れば同じ数字を複数枚持つ確率は減ってしまう。
そんな中、二枚組を二組持つチョロ松は、なかなかの強運の持ち主のようだ。
(Kの上はAと2のみ。序盤では温存し、きっと後半戦に取っておきたいはず。よし、勝負!)
「はい、お手並み拝見」
ウザい台詞と共に、場にハートとダイヤの5が出された。