第6章 一番強いのはぼくだよ！！

得意げに笑ってはみたものの…


（やべぇ！！もう打つ手がねぇっ！！）


一松は絶望していた。
おそ松の男気溢れるA二枚に、ついつい男を見せてしまったのだ。

切り札だった2を初っ端から使い切ってしまい、彼はクラブの3、ダイヤの6、スペードの7という、なんともショボい手札しか残っていない。
カタカタとカードを持つ手が震える。


（考えろ…考えるんだ！！クラブの3はとっておくとして、まずはダイヤの6を捨てよう。あとはイレブンバックが来れば…）

「一松くん強いねー！」

「！！」


——ぱし…


「あ…」

「からのーーイレブンバーーック！！」

（あぁぁぁあーーーっ！！！！何やってんのおれーーーっ！？詰んだ！！人生だけでなくトランプですら詰んだーーーッ！！）


ゆめ美にちょっぴり褒められ動揺してしまい、一松はクラブの3を出してしまった。
そして次の十四松が出したのはクラブのJ。
しばりを成立させつつのイレブンバックだ。

ここで出てきたイレブンバックとは、J（ジャック）が出ると、一時的に革命状態（ジョーカー以外のカードの強さが反転）になるというものだ。
革命とは違い、場が流れるとその効果は消滅する。
Jを複数枚出した時でも成立するが、Jを含む階段では成立しない。

一松は、革命とイレブンバック対策で残しておきたかったクラブの3を、あっけなくクズカードとして出してしまったのだ。


「一松兄さん惜しかったね。かわいそー♪」

（かわいそうなら「♪」つけんじゃねぇっ！！）


トド松は鼻歌交じりにクラブの6を出した。
イレブンバックや革命を考慮すると、クズカードである3〜5よりも6〜10（8を除く）が中途半端な強さで最も使えない数字だったりする。ただし、階段を狙うのであれば勿論大事なカードである。

その後、ゆめ美がしばりのまま5、おそ松が4を出し、場は流れておそ松スタートとなった。