第6章 一番強いのはぼくだよ!!
チョロ松の指先がテンポ良くカードを配っていく。
五人は黙りこくったまま、流れるように飛ぶカードを見つめる。
静寂の中、聞こえるのはカードが風を切る音のみ。
「あっ」
チョロ松が誤っておそ松の顔に向かいカードを飛ばしてしまうと、長男はそれを器用に人差し指と中指で挟んで受け取り、ニーッと不敵な笑みを浮かべる。
「んじゃお前ら、死ぬ気でかかってこいよ?」
サングラスをかける次男。
「おそ松、せいぜい気をつけろ。兄弟の地位も都落ちしないようにな…」
カードを配りながら、何食わぬ顔で懲りずにライジングする三男。
「僕は見送り目的じゃなく純粋にゲームを楽しむから」
カードを手に取り舌打ちする四男。
「勝ちは譲らねぇ。テメーらにおれの命は奪えねぇよ」
「あっははー、一番強いのはぼくだよ!!」
「えへっ、殺しちゃっても恨みっこナシねっ」
張り詰めた空気の中、襖が開く。
——ガラッ
「おまたせー…ってみんな、睨み合ってどうしたの?」
開戦の合図である——。