第5章 トランプやるけど、どうせ来ませんよね…?
まさかカラ松の名前が出てくるとは思わなかったトド松は、ふとこの間の制服騒動を思い返した。
(そういえばゆめ美ちゃん、あの日以来カラ松兄さんのクソワッペンずっと着けてる。あんなにイタイのに。メンタル破壊されかねないデザインなのに。それって、もしかして——)
トド松の歩みが止まる。
(いやいやいや!ない!ぜっったいありえない!だってクソ松兄さんだよ!?寄生虫達の愛の囁きが聴こえるとか言っちゃう残念すぎる次男だよ!?ないでしょーーーッ!!ありえないからっ!!)
「トド松くん?」
「ありえない」が頭の中でエンドレスリピートしている彼に、ゆめ美の声は届いていない。
(ありえないありえな…あれ…この感じなんだろう。もしかしてボク、嫉妬してる?この胸の奥がギューーッてなる感じって…)
「ねぇ、トド松く「あのさ、ゆめ美ちゃん」
二人同時に口を開き、互いにパチリと瞬きをした。
「なに?」
「急に立ち止まってどうしたの?」
「あぁ、ごめん、何でもないよ。あのね、ボクね…」
自覚できるほど顔が熱くなっていくトド松。だけど伝えたくてたまらない。
トド松は真っ直ぐゆめ美を見た。ゆめ美は、戸惑いながらも見つめ返す。
「ゆめ美ちゃんが、ボク達と仲良くしてくれるのすっごく嬉しいんだ。でもさ、ボクらって似ているようで全然違うから!だから!」
トド松は心のモヤモヤを吐き出していく。