第5章 トランプやるけど、どうせ来ませんよね…?
「似てるけど違う。趣味とか、性格とか、食べ物の好みとか…ホントに全然違うんだよ。だから、ボクをもっと見て。ボクをもっと知ってほしい。えっと、つまりね…」
六人セットは嫌なんだ。
ボクだけを見て
兄さん達じゃなくてボクだけを…
「ボクのこと………つ!!」
言いかけて慌てて口をつぐむ。
(何してんのボク!勝ち戦しかしない主義どこ行った!!)
「ボクのこと?」
立ち止まるゆめ美。
言葉の続きを待つゆめ美へ、トド松はいつものあざといスマイルを向けた。
「ボクのこと、気軽にトッティって呼んで欲しいな?このあだ名けっこう気に入ってるからさ」
意外な展開に、ポカンと口を開けていたゆめ美だったが、
「…う、うん、トッティがいいならそう呼ぶよ?」
いつものトド松の雰囲気に戻り、 柔らかく微笑んだ。
「じゃあボクもユメって呼ぶね♪」
「友達にあだ名で呼ばれたことないから新鮮!ありがとう」
(友達…か。今はまだ友達でも、これから会う回数を増やしていけば、いずれはきっと!)
兄達より一歩リードし、あだ名で呼び合う仲になったトッティ。
あだ名で呼んで貰えてはにかむゆめ美。
はたから見たら、なかなかお似合いな二人かもしれない。
「行こうユメ。兄さん達待ってるから」
「ちょ、ちょっと待って!信号赤だよ!」
こうして、ユメとトッティは会話に花を咲かせながら松野家へと向かうのだった。
6章へつづく