第5章 トランプやるけど、どうせ来ませんよね…?
(ゆめ美ちゃんて、ボクの予想を上回る奥手タイプ?)
これは案外押したら上手くいくかもなんて期待に胸を弾ませるトド松だったが…
「そう言えば、カラ松くんにも誘われてるんだった」
「え?」
(カラ松兄さんいつの間に!?)
「みんなありがとね。誘ってくれて」
下心をまるで感じさせない澄んだ笑顔を向けられてしまっては、トド松も笑い返すしかない。
「ええと、じゃあボクとは買い物行こうねーあはは」
笑顔で返しつつ、本音を飲み込む。
(ゆめ美ちゃんダメだよ。そーゆーのは内緒にして複数と同時進行で親密になっていくのがモテの鉄則なんだよ。そんでみんなに愛されてウハウハしてさ、途中男同士で殴り合いになって私の為に争わないで的な展開になってさ…。いや、もしかしたらボクの心を探りつつ、ワザと嫉妬心を煽って楽しんでるとか?どうなのかな?本心はどう思ってるんだろう?ボクがゆめ美ちゃんなら——)
ボクがゆめ美ちゃんなら、秘密裏に六人全員と仲良くなって、貢がせるだけ貢がせて楽しんだ挙句、迷わずボクを選ぶのに…なんて考えて、
(ボクってば悪い子ーっ)
と心の中でテヘペロするトド松。
だが、そんな腹黒い自分が大好きだったりするから困った末っ子だ。
ゆめ美も同類かもと思いかけた所で、先ほど誘った時に「みんなで出かけよう」と言われたのが頭に浮かび、考えすぎかと思い直す。
(なーんかこの子といると、調子狂っちゃうなぁ)
トド松はゆめ美に対し、"ヤりたい"という下心だけではない特別な感情が芽生えているのを感じ始めていた。