第5章 トランプやるけど、どうせ来ませんよね…?
(…………ってトッティなら言うんだろうな)
ぼくも言うぞ、言うんだ。
よし、次ゆめ美ちゃんが瞬きしたら言ってやる!!
そう奮い立ち、一松はずっと合わせられなかった目をはじめて向けた。
あと一押し。
あと一押し…だったのに…
「…や、やっぱいい。来なくて」
その一押しが、彼にとっては国一つを滅ぼす大量殺戮兵器のボタンをポチるレベルで精神に負荷をかけていた。
頭に思い描いたのとはあべこべな台詞を口にしてしまう。
「え?どっち?」
「い、いや…あああの…」
(どっちって…それをおれの口から言わせるの!?そりゃあ来て欲しいよ!!でもそれおれから言わせる!?おれが死んでもいいの!?おれが死んでも代わりはいるの!?ああーいるか!!五人ばかし同じ顔いるかあぁぁあっ!!!!)
思考回路がショート寸前まで追い詰められた彼は、ぐるぐると目を回しヨロケてしまった。
トン、と肩がゆめ美にぶつかる。
「大丈夫!?具合悪いの!?」
「わ"ーーーッ!!??」
「キャーーーーッ!!??」
一松は肩を両手で支えられた時、興奮のあまりシャウトしながら飛び上がってしまった。大袈裟な反応にゆめ美も驚き甲高い声をあげる。
飛び上がった拍子に猫耳と尻尾を出してしまい、猫松は慌ててもふもふを引っ込めた。