第29章 ※トド松エンド 人を好きになるって
「やっぱり平気!平気だから離して!」
「ヒビでも入ってたらどうすんの?いいから見せて」
あまりの恥ずかしさにゆめ美はキュッと目を瞑る。と、足の小指に柔らかな感触がした。
指で患部を確認してくれているのだろう、そう思ったゆめ美は目を閉じたまま尋ねる。
「腫れてる?」
「少しだけ」
「っ、ありがとう、あの、くすぐったいからもういいよ」
「痛みはないの?」
「う…ん」
少しジンジンしているが、それよりもこの状況から解放されたかったゆめ美は、身体を起こし瞼を開けた。そこで衝撃の事実に気づく。
「何してるのトッティ!?」
「痛みがなくなるおまじない」
小指に触れていたのは指ではなく唇だった。
目を丸くするゆめ美を見て、トド松は意地悪っぽく笑みを浮かべると、小指を啄み始める。唇を開いて口に含み、吸い付きながら舌で味わう。
抵抗しようと思ったゆめ美だが、くすぐったさと気持ち良さが混ざった甘い感覚に、強張っていた力が抜けていく。
トド松は堕ちていくゆめ美を見つめながら、桃色のペディキュアを舐めて「可愛い」と呟いた。
「ボクのおまじない効いた?」
「効いた…効いたから、もう…」
頭を引き剥がそうと手をかけるゆめ美だが、体勢が悪いからかビクともしない。
トド松はゆめ美の言葉を無視して足首にキスを落とした。そしてそのまま唇を滑らせ膝へと辿り着くと、やんわりと噛み付く。
ピクンと脚が反応してしまい、ゆめ美は目を伏せた。
「…っ」
声を出すまいと堪えてはいるが、その吐息はトド松を誘うかのように甘く掠れている。
ここまで来て帰る童貞はいない、童貞はそう確信した。
ちゅ、と音を立てて太腿の内側に口付ければ、ゆめ美の腰が僅かに跳ねる。
「ねぇユメ」
柔らかな肌に舌を這わせ、問いかける。
吐息に悦が混ざるのを聴きながら。
「っ……あ…」
警戒心を解くよう、ゆっくり、ゆっくりと唇で愛撫しながら内腿の上部へ。唇が下着に触れそうな位置まで来て、トド松は焦らすように顔を上げた。
「最後まで……していい?」
静かに頷くゆめ美の両手を、トド松はゆっくりベッドへ縫い付けた。絡み合う指は互いを求めるように強く結ばれる。