第29章 ※トド松エンド 人を好きになるって
ゆめ美がチェーンを指でなぞれば、ペンダントトップの小花が愛らしく揺れる。
「可愛い…。私、こういうの初めて貰った…」
「シンプルだけど普段使い出来ていいでしょ?」
「うん、すごく綺麗な色…」
そう呟き、ゆめ美は小花の中心にある宝石を指先で触れた。街灯を反射し、星屑のように煌めいている。
「ピンクトルマリンだよ。ユメはピンクが似合うからさ」
これまで付き合うのはおろか異性の友人すらいなかった奥手なゆめ美。
女の子扱いされ、プレゼントを贈られる——そんな世界に憧れていないと言えば嘘になる。
ゆめ美のささやかな夢を、今目の前の王子様が叶えてくれたのだ。無職童貞だが。
(よし、アイツを殺そう)
(はーい!にーちゃんも手伝う!)
(賛成。これは妨害ではない、人助けだよ。ドライモンスターから僕らのゆめ美ちゃんを救ってあげないと)
(あっはは、もう収拾つかなーい!)
エンドなんてもう関係ない。四人は殺意剥き出しでトド松をロックオンした。
「でも、本当に貰っていいの?」
「ふふっ、いつもボクや大好きな兄さん達と仲良くしてくれてるお礼だよ♪」