第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
やっぱり、会いに行こう——と、決意を固めたトド松。
二人になんて言ってカラオケを抜けようか考えていると、そんなトド松の隣にサチコが座ってきた。
「ねーねートッティ」
「ん?なぁに?」
ニッコリ笑顔を向ければ、トド松はいつの間にか曲が終わっていることに気がついた。次は自分の番か?と思ったが、サチコはマイクではなくスマホを手に持ち、嬉々とした表情で画面をトド松へと向けている。
「友達からライン来たんだけど、暇みたいだから呼んでもいーい?時間延長しよーよ」
「そうなんだ?でもボクこの後——」
「用事あるから抜けていい?」と言おうとしたがすかさず遮られる。
「その子にトッティのこと話したら会ってみたいってさ」
「あははっ、ほんとに?嬉しいな」
「じゃあ終電まで歌ってこ?」
長いまつ毛を揺らしながら、サチコ。
上目遣いが容赦なくトド松の理性にダメージを負わせる。
「でも、ボク…」
「いーじゃんトッティ〜!」
アイダも加わり、顔面偏差値高めの二人が両脇から上目遣いで懇願。
トッティ、辛抱たまらん状態。
「その子すごく美人だよー」
「彼氏募集中なんだって」
「う、ん、じゃあもう少しだけ——」
と、流されかけたところで、ドアをノックして店員が入って来た。