第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
「お待たせしましたぁ、ポテトフライハバネロ味でーす」
店員がトド松の肩越しに屈んでポテトをテーブルに置く。
覚えのないトド松はアイダとサチコに視線を送るが、二人とも首を横に振った。
「頼んでないんですけど」
少し不機嫌な声でトド松が店員に話しかける。
すると、耳元で小さな、だがハッキリと声が聞こえた。
「行けよ」
「は…?」
「あいつが待ってる」
「ちょ、え?ええっ!?」
トド松が店員の顔を覗き見れば顔面蒼白。
つけ髭で変装していても一目瞭然。
同じ顔闇属性がそこにはいた。
状況に思考が追いつかず固まるトド松に、店員は急かすように声を上げた。
「早くしろクソパリピがぁっ!!」
店員はあろうことか、唐突にズボンを下ろし、テーブルの上でウンチングスタイルになりいきみだした。
「きゃぁぁぁあ!!」
「なにコイツ!!」
店員の異変に気づいたアイダとサチコが互いに抱き合い悲鳴を上げる。
「おまっ!なにしてんの!?」
「おれは…平気だから…」
「場が平気じゃねぇし!?」
「るせぇボケェ!!早くゆめ美のとこに行けっつってんだよ!!」
「っ!!」
そこではじめて、兄の真意を悟る。
「まさかボクを…!」
「なにチンタラしてんだよ!テメーが早くこの場から消えないとホントに脱糞すんぞ!!」
トド松の目に涙が滲む。
「ごめんっ、ボク、兄さんの気持ち知ってるのにあんなこと言って…!!」
涙目の弟に向かい、兄は親指を立ててニタリと笑いかけた。
「ゆめ美を泣かせたら、末代まで祟るから」
「いやそれ身内の兄さんにも害あるから」
「いいから行けって!!あいつを待たせんじゃねェボケェ!!」
「……うんっ!!」
パァンッとハイタッチの音を響かせ、トド松はダッシュでカラオケを出た。
トド松エンドにつづく