第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
「なにムキになってんだよ、あいつ」
ポカンとしながら呟くおそ松。
「さぁね」
チョロ松も心配そうに一松が歩いて行った方向を眺める。人混みの中、一松の姿が見えなくなるとやれやれといった様子でため息をこぼした。
「僕らって、お互いの事分かってるようで分かってないよね」
「ん?じゃあ俺のこともっと知りたい?」
「いや、どうでもいい」
「とりあえず俺はうなじフェチ!」
「僕のフェ……ってだから興味ないから!」
"女子"の前では極力ボーイズトークをしたくないチョロ松は慌てて話を強制終了。
ゆめ美は盛り上がる(?)二人の会話に耳を傾けながらスマホを覗き見た。 時刻を確認しつつラインを開くが通知は来ていない。その様子を見ていたカラ松がゆめ美の肩に手を置いた。
「もう行くのか?送っていくぞ」
「ううん、一人で大丈夫だよ」
「一人!?ダメダメ〜」
いつの間に移動したのか、ゆめ美とカラ松の間におそ松が割って入る。
「祭りだよ?酔っ払いだらけだよ?一人でいたら変な野郎にナンパされちゃうって」
「そうだぞゆめ美。お前をそんな危険な目にあわせる訳にはいかない」
「そうそう、夏は虫と浮かれたバカが多いから気をつけないと」
チョロ松が皮肉っぽくおそ松に視線を向けるが、おそ松は愉快そうにヘラヘラ笑っている。
「どこ行くのー?」
「え?えっと…」
十四松の質問にゆめ美の言葉が詰まる。
「トッーー友達の連絡待ってて、返事待ちなの。だから、実は場所決まってなくて…」
「そーなんだ!早く連絡くるといーね!」
「う…ん」
俯くゆめ美を見てすかさず長男が行動に移った。
「んだよ。なら最初からそう言えばいーのに」
おそ松は、モジモジウジウジなゆめ美の頭をくしゃりと撫でて腕を引く。
「ぃよしっ、お前ら飲みに行くぞー!」
「え?あのっ、だから用事が…っ」
「ほら行こーぜ。連絡待ってる間俺らといればいーじゃん?」
返事をする間も与えられず連行されるゆめ美。
戸惑うゆめ美を自分のペースに巻き込むのはおそ松の得意技である。
・・・