第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
それから程なくして花火大会が始まった。
カラ松が待機していたブルーシートに全員集合し、みんなで乾杯をする。
夜空を彩るのは鮮やかな大輪の花。
「おぉ…ビューティフル」
ポツリと独り言のように呟くカラ松。その隣で、ゆめ美はイカ焼きを頬張りながら話しかける。
「場所取りありがとね。こんなに眺めがいい場所、取るの大変だったでしょ?」
「フフーン!ブラザーとゆめ美のためならば楽勝さ」
と言ってゆめ美を見たカラ松だが、隣のカラ松ガールは笑顔ではなく少し憂いを帯びた瞳で花火を見ていた。
今日はせっかくのお祭りだ。愉しいひとときにそんな顔は似つかわしくない。
(何か嫌なことでもあったのか?オレと二人きりになれなかったから?いや、おそらく——)
カラ松はしばし頭の中で言葉を選びながら、ゆっくり口を開いた。
「来年は——」
くいっと缶ビールに口をつけ、ふうと一呼吸。
「カラ松くん?」
「トッティも呼んで七人でこよう」
ほんの僅かゆめ美の目が見開き、そしてすぐ伏し目がちになる。
「くる…かな?」
「ああ!それかオレと二人でデートするか?」
「黙ってろクソ」
横槍を入れたのは一松。なんとなく邪魔したくなったらしい。…なんとなく。