第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
屋台が並ぶ通りは人でごった返していた。友人同士で盛り上がる若者、父親に肩車されながら頭にお面をつけてはしゃぐ子供、ぎこちなく手を繋ぐ初々しいカップル——皆それぞれの胸に思い出を刻みながら今この瞬間を謳歌している。
賑わう通りの中、四人は人混みからゆめ美を守るように囲んで歩いていた。
と、先頭を歩くおそ松がイカ焼きの屋台を発見し目を輝かせた。
「チョロ松ぅ!俺あれ食べたーい!買ってー!」
「え?まさか金無いの!?」
「あるよ!………五十円」
「それであるとか言っちゃうあたりどうなの?大体お前は——」
兄にお説教を始めようとしたチョロ松だが、今日はせっかくのお祭りだ。諦めたように深々と嘆息し、財布の残金を確認した。
「——まぁいいや。じゃあ僕とおそ松兄さんであれ人数分買ってくるから、ゆめ美ちゃん達は先にカラ松兄さんと合流しててくれる?ここの通りの先の河原に陣取ってるみたいだから」
「わかった。じゃあ私たちは適当にビールとおつまみ買っておくね」
「ありがとう。よろしく」
こうして、おそ松とチョロ松、ゆめ美と一松と十四松の二手に分かれることとなった。