第28章 トド松ルート2 バカになるのが恋ザンス
「プッハーー!」
もう何杯目か分からないビールがトド松の喉を駆け抜ける。
「はー失敗したなー…デートの約束するはずがなんであんな流れに…」
「ウッヒョヒョ!さては恋煩いザンスか?」
面白そうな話題にすぐに食いつくイヤミ。
「徐々に距離を縮めるのがトッティスタイルなのにさー」
「ミーならプレゼントと甘い言葉でイチコロザンス」
「……」
と、突然トド松は外界をシャットダウンし、ドライフェイスで卵を食べ始めた。
「…あの」
「……」
「末っ子さーん?」
「……」
「ミーの話聞いてるザンス?」
「…あつっ…」
トド松は今、卵にしか意識を向けておらず、返事を返す気配はまるでない。
ぞんざいな扱いに、イヤミはついに涙目になってしまった。
「うぅ…ここまで無視されるとさすがのミーも寂しいザンス。なぜザンス?ミーとチミの仲ザンショ…?」
イヤミが情に訴えかけると、ドライモンスターは盛大なため息の後、心底面倒そうに声をかけた。
「なに?なんか言った?」
イヤミは薄ら笑いを浮かべながら揉み手で口を開く。
「実はミー、恋愛相談所を始めようと思ってるザンス。手始めにチミを練習台に「なんだ空耳か。完全にどうかしてるなボク」シェーーッ!?ミーの存在抹消しないでチョーよ!」
「だ・か・ら!ほっといて欲しい雰囲気さっきから匂わせてるでしょ?いいかげん察してよ」
酔って絡んでくるオッさんは、大抵しつこいしめげないし厄介な生き物なのだ。