第27章 トド松ルート1 blinded
しゅんと肩を落とすゆめ美の様子が娘のように可愛くて、店主は大きな手でポンポンと頭を撫でた。
「やめて。いい大人なんだから子供扱いしないで」
拗ねたように口を尖らせるゆめ美は、角砂糖を二つカップに沈め、くるくるとティースプーンを回す。いい大人と強がりつつ甘党なのはご愛嬌。
「あははっ、つい癖でね。謝るって、ゆめ美ちゃんは相手に何かしてしまったのかい?」
こくりと頷き、ポニーテールが揺れる。
「私ってずるいかもしれない。問い詰められて、自分に都合悪い事を隠して逃げようとしたの」
「…ふむ。少し複雑そうだね」
「それに、友達としか思われてないかもって思ってたから、急にあんなことされてびっくりしちゃって…」
赤裸々な相談に、店主は思わずコーヒーを吹き出しそうになり、慌てて咳払いした。
「『あんなこと』!?それは流石の私も黙って見過ごす訳にはいかないなぁ!ピンクと紫のどっちに何をされたんだい?」
「ちち、違う違う!何もなかったよ!驚いただけ!」
「全然ごまかせてないよ。全く…」
やれやれと言った風にまた口髭を撫でる店主。この癖は心を静める効果があるらしい。
「でもまぁ、ゆめ美ちゃんが惚れてるのが六つ子くん達の誰かなら私は安心だな。無職なのは気になるけど」
「伯父さん…、もしかして私の気になってる人バレてる?」
「いいや。分からないけどこれだけは思うよ」