第27章 トド松ルート1 blinded
肩を掴み、壁にゆめ美を押し付ける。
「ほんっと、鈍いんだからさ!」
「やめてっ」
鋭利な刃物のような目がゆめ美を捕らえる。逃れようと顔を逸らしたゆめ美だが、顎を掴まれ無理やり視線を縛り付けられてしまう。
「ねぇ、なにしたの?二人っきりでさ?」
「なにも…してないっ」
「うそつき」
なおも抵抗しようとするゆめ美の太腿に、脚を絡ませ動けなくする。
押し付けた膝でゆめ美の下半身をグイと押し、悪戯っぽく笑う。
「じゃあなんでそんなに顔赤いの?」
「だって、トッティが近くて…!」
「あの夜、人に言えないようなことしてたんでしょ?こんな風に」
「っ!!」
腰をぐっと抱き寄せ、吐息がかかるくらい顔が近づく。
「ボクもいいよね?」
唇が触れそうになった刹那——
「イヤッ!」
パァンッと乾いた音が響き、驚いたニャンコが屋根の上へ逃げていった。
「あ……ご、めん」
ゆめ美がトド松の赤らんだ頬に触れようと近づくと、トド松はゆめ美から逃げるように後退った。
「は、はは…意味分かんないね、ボク」
二人の距離が離れてゆく。
「なにしちゃってんだろ…ホント」
「待って!あの…っ!」
「バイバイ、ユメ」
感情を隠した渇いた声が路地裏に残された。
・・・