第27章 トド松ルート1 blinded
ポニーテールが乱れぬよう、そっと髪に触れる指先。
「ユメの髪、綺麗だね」
「そ、そうかな、あんまりケア出来てないけど…」
「ほらサラサラ。シャンプーの香りもボク好みだし」
髪を褒められるのなんてゆめ美は初めてで、嬉しいやら恥ずかしいやら…。
ゆめ美が探るように上目遣いでトド松を見やれば、きゅるるんと微笑み返される。慌てて目を逸らすと、サラサラと前髪を梳きながら指が離れていった。
「ごめんごめんっ、つい綺麗だったから触りたくなっちゃって」
どう返せばいいか分からず頬を染めて俯くゆめ美。そんなゆめ美を見て、トド松は困ったように笑う。
「あははっ、嫌だった?」
「嫌じゃない、けど……トッティって女友達多いから慣れてるのかなって」
「そんなことないって。こういうのはユメにしかしないよ?」
サラリと思わせぶり発言をしつつ、頬杖をついて再びニコリ。
彼女いない歴=童貞=年齢なので、本当にそんなことなかったりするが、ゆめ美は余裕ありげなトド松に少し負い目を感じていた。ドキドキしてるのは自分だけで、トド松は意識せずに「綺麗」と言ったり頭を撫でてくるのかな、と。