第4章 内面を充実させる為にまずは外見から高めていかないとね?
チョロ松の反応は至極マトモだった。
店主の持ってきた制服は、バニーガール、胸元と背中がぱっくり開いたフリフリミニスカメイド、なんか透けてる猫耳メイドという、男の下半身を接客するような代物だった。
「ツッコミが冴えてるねぇ緑くん。私はそういう若いノリ嫌いじゃないよ。話を戻すとさ、若かりし頃遊び呆けていた私だったけれど、ある時一人の女性と運命的な出会いを果たし、あれは初デートでスワンボートを漕いでいた時だった」
「店長!?一刻を争うんですよね!?今その回想シーンいりませんから!!そしてこのR指定を速やかにしまってきてください!!」
チョロ松は店主へ熱心に説得を試みるも、状況は圧倒的不利だった。
ここには、残念な大人ばかりいた。
「ちょっとちょっと、なに一人で熱くなってんの?いーじゃんエロカワで。俺は大賛成〜」
「ボクもこれとかオシャレで好きだなー。着てるのみたーい」
「お前ら便乗してんじゃねーっ!こうなったら僕が自腹で用意するからな!!」
(なんでマトモなヤツが一人もいないの?いい歳したオッさんがいるのに俺の仕事量増えてんだけど!?)
男達の愚かな欲望を目の当たりにし、放心状態になったゆめ美を庇うように、漢チョロ松はゆめ美を背中の後ろにやりゲス共に立ち向かった。
(ひるむなチョロ松!ここは紳士に振るまえ!!僕まで堕ちてしまったら、一体誰がこれ葉さんを守るというんだ!!)
「みてみてゆめ美ちゃーん!このフリルとってもカワイイよ!ボク、絶対似合うと思うんだ!」
「やめなさいトド松!」
チョロ松は戦った。
「タッティ!!」
「へぇ……バニーガールのしっぽって…ジャパニーズボブテイルみたい…」
「物色するなお前ら!」
悪魔の囁きと戦ったのだ。
「ほら見ろよシコ松〜、スッケスケな猫耳メイドだぜー?」
「チョロ松くん…」
「これ葉さん、耳を貸しちゃダメだ」
「う、うん」
シコ松は耐えた。
むくりと主張するチョロ松を、必死になって抑え込んだ…!
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