第26章 ※チョロ松エンド 僕を君に捧ぐ
アトリエに着くと、何故かどこもかしこも女子だらけ。そして陶芸家はみんなイケメンだった。ショタからおっさんまで、選り取り見取りのイケメンが女子達に手取り足取り教えている。座る女性客の背後から手を伸ばし、(水で)濡れそぼった手で極上の陶芸体験をさせている。イメージするならばゴー◯トの有名なあのシーンである。
(なんということだ…)
チョロ松は己のリサーチ不足を後悔した。女子ウケナンバーワンだったここのアトリエにはそういう裏事情があったのか、と。
(つまりここは、猫カフェの猫よろしく陶芸ではなくイケメン目当てで女子が集うイケメン体験教室…!ぜんっぜんデートに相応しくないっ!つか僕肩身狭ッ!!周りのレベルが高すぎて相対的に僕の顔面偏差値が下がるぅぅううう!!)
チラっとゆめ美を盗み見ると、眼前に広がるイケメンの園に頬を染め見惚れている。
(あぁぁあー!!ゆめ美ちゃん行かないでゆめ美ちゃあぁぁあん!!僕を置いてイケ園へ旅立たないでぇぇえ!!!!)
イケメンではなく初めて見るろくろに見惚れているゆめ美の表情を勘違いし、一人悲しみに打ちひしがれるチョロ松。そこへついに、頭にタオルを巻き、黒いTシャツがはちきれんばかりのマッチョなおっさんイケメンがやって来た。陶芸でこんなにムチムチになる筈はないのだが。
「いらっしゃい。十六時に予約の松野さんかな?」
「は、はい…そうです…」
まごまご話すチョロ松へ、おっさんイケメンは優しく微笑みかける。
「ようこそ。ここはちょっと賑やかなんで、離れのアトリエを貸し切りにしておきました。ぜひ二人で素敵な思い出を作品に残していってくださいね」
(おもてなしまでイケメンーーーッ!!)
こうして、チョロ松の心はいとも容易く掘られるのだった。