第25章 チョロ松ルート2 本当の僕って
「あの…その表現はいろいろと語弊があるんじゃないかな?」
「割と真面目です!おなしゃーす!」
「う、うん、分かった。頑張ります!」
ゆめ美が戸惑いながらも頷くと、十四松は手を取りブンブン握手を交わした。
「あははっ!よかったぁ!よろしくねー!」
「決まりダスな。ゆめ美ちゃん頼むダス。ベッドは一つしか無いダスからチョロ松くんと並んで横になるダス」
「えぇっ!?」
一つのベッドに二人で寝る——それだけでゆめ美の顔は瞬時に真っ赤になる。
「どうしたんダス?早く寝るダス?」
「ぁ…は、はい…」
(そうだよね、チョロ松くんが大変な時に、なにドキドキしてるんだろう…)
冷静になるよう自分に言い聞かせ、意を決して隣に寝転んだ。
(うまくいくかな、もし失敗しちゃったら…)
緊張と不安で胸が痛いほど高鳴るが、
(でも、私は——チョロ松くんを助けたい!)
すぐそばに感じる体温を守りたい、力になりたいと、強く強く思った。
「準備はいいダスか?三十分したらこちらに戻すダスから、それまでにチョロ松くんの本当の心と向き合ってきて欲しいダス」
「分かりました。じゃあ、博士、十四松くん——」
ゆめ美は深呼吸してアイマスクをつける。
「いってきます」
その言葉を合図に、デカパン博士が電源を入れる。
特殊な電波がゆっくりとゆめ美を眠りの世界へ導いていき、そして、数秒後にはスースーと寝息を立てはじめた。
寝顔を見つめ、デカパン博士が呟く。
「十四松くん、本当によかったダスか?」
「えーっ?なにがー?」
「ホエホエ…なんでもないダス。チミはやっぱり優しい子ダスな」
「ゆめ美ちゃん、ありが特大サヨナラホームラン…!」
この時、十四松は九回裏二死満塁で片思いに終止符を打ったのだった。
・・・