第25章 チョロ松ルート2 本当の僕って
メカを見てキョトンとするゆめ美に、デカパン博士は深刻な表情で口を開いた。
「ゆめ美ちゃん、十四松くんにチョロ松くんの病気については聞いたダスな?」
「は、はい、なんとなく。現実逃避のようなものだとは…」
「数日前、このメカを使ってチョロ松くんの深層心理を探ってみたら、チョロ松くんは無職なのを思い悩んで病にかかったのが分かったダス。だから、就職させるのは無理でも働く疑似体験をさせて治療を試みたんダスが……」
そこまで言いかけて、床に臥すチョロ松に視線を落とす。
「……結果は、どうだったんですか?」
「見ての通り、失敗に終わったダス」
ゆめ美は堪らなくなってチョロ松の手を強く握りしめた。そうしないと、不安で押し潰されてしまいそうだった。
「どうすれば治るんですか?私に何か出来ませんか?チョロ松くん、きっと真面目だから人一倍悩んじゃったのかも…どうして気づいてあげられなかったんだろう…!」
悲痛な声、溢れる涙。
十四松が慌ててゆめ美の元へ駆け寄る。
「ゆめ美ちゃん泣かないで!きっと大丈夫だから!」
「でもっ、でも…っ!」
「落ち着くダスゆめ美ちゃん。ワスは研究に研究を重ね、この"きままに頭覗き見る機"を改良して、ただ頭の中に入るだけではなく、深層心理と直接やり取りが出来るようにしたんダス!」
ゆめ美は涙を拭い、顔を上げた。
「じゃあ、それを使えば深層心理の中でチョロ松くんと話せるんですか?」
「正解ダス!そこでゆめ美ちゃん、チミにチョロ松くんを説得してきて欲しいんダス!さっきの反応で確信したダス!チミならば、きっとチョロ松くんを変えることが出来るダス!」
デカパン博士は、きままに頭覗き見る機のアイマスクをゆめ美へ差し出した。
「私が…チョロ松くんを…」
ゆめ美が博士からアイマスクを受け取り握りしめていると、十四松がそっと手を重ねた。
「ゆめ美ちゃん、行ってあげて」
陽だまりのようなあたたかい笑顔がゆめ美に向けられる。