第4章 内面を充実させる為にまずは外見から高めていかないとね?
バックルームから出てきたゆめ美のスカートを見ると、店主は一瞬目を見開き、口髭を撫でながら困ったように笑った。
「伯父さん、ど、どう?」
「うーんと、すごいことになってるねぇ?」
たじろぐゆめ美の横で、カラ松は不敵な笑みを浮かべている。
不安を胸の中で膨らませ待っていた兄弟の予感は的中した。
五人はサービスで出されたパフェをつつきながら、ある者は落胆し、ある者はツボに入っている。
(やべーアバラヒビ入るー!)
(こうなることは目に見えてたよ。だから止めたのに…)
(クソはクソでしかない。期待を裏切らないクソがっ!!)
(パフェうんまーー!)
(兄の失態により、ボクの株まで下がったらどーしてくれんの!?)
スカートの修復箇所には、サングラスをかけたカラ松フェイス刺繍ワッペンが施されていた。
スカートをお披露目しながら、ゆめ美はポリポリと指で頬をかき、気まずそうにカラ松と店主の顔色を伺っている。
「ごめんね青くん、流石にそれは…ちょっと厳しいかな」
スカートを見て、店主が柔和な笑顔を浮かべながら残酷な言葉をカラ松へ投げかけた。
「フッ…なるほど」
カラ松はくるりとターンを決めてから、サングラスを掛けて隅っこの席に足を組んで座った。
なぜカッコつけるのかというと、傷ついた心を見せて心配させるまいという、彼なりのゆめ美への気づかいだったりする。
そんなカラ松の存在を無視するかのように話は進んだ。