第4章 内面を充実させる為にまずは外見から高めていかないとね?
「ブラザー達といると、ロクに話せないからな。一度キミとゆっくり過ごしてみたいんだ」
とても真っ直ぐなお誘いである。想いをぶつけるという行為は、カッコつけたり傷つかない為の予防線を張ったりせず、ストレートに伝えるのが一番相手に届いたりする。
ゆめ美は素直に嬉しかった。
「私だけで…いいの?」
「あ、ああ。むしろ二人でいいのか確認するのはオレの方な気がするが…」
カラ松アイズが、眼球のその奥の毛細血管やら水晶体を透視する勢いで見つめ抜くと、ゆめ美はもじもじと下を向いた。
「でも…」
照れくさくなり目を伏せる。
「やはり、オレと二人じゃ嫌か?」
「い、嫌じゃないっ!」
ゆめ美は、不安げなカラ松の声に思わず声を強めていた。ハッと我に返り声のトーンを落とす。
「じゃあ…ちゃんと綺麗に直ったら、ね?」
ちょっと高飛車だったかな、と思いカラ松を見ると、嬉しそうに口角を上げて前髪を手でぱさりと搔き上げている。
「フッ、そうと決まれば、特別にこれを付けてやろう!」
カラ松は、バチンとウインクを投げてから、パーカーに潜ませていた"あるもの"を取り出した。
(まさかコレが、思いもよらぬ形で役に立つ日が来るとはな…)
それは、たまたま新作のパーフェクトファッションに付ける予定だった、例によって例によるアレである。
実に用意周到な次男だった。
・・・