第25章 チョロ松ルート2 本当の僕って
病魔に侵されシコシコ言い続けるチョロ松を救うべく、五人はいろんなことをチョロ松に体験させた。
撮影器具を集めて架空のチョロ松マネージャー密着ドキュメンタリーを撮ったり(公開未定)、会議室を借りて架空のチョロ松部長に架空の会議資料を架空の平社員(聖澤兄弟十七人)に丸めてぶつけるというパワハラをさせ、自己肯定感を高めさせようと試みた。
しかし、チョロ松の病は治らない。
僅かに意識が戻っても二言目には「シコ」だし、最近ではイビキすら「シコ」だ。
もう病気を治すのは不可能かもしれない、でも悪いのは自分達じゃない、残酷な社会が優しかったチョロ松をライジング思考スキーという悲劇のモンスターに変えてしまったんだ——と、五人が諦めかけたある日、十四松はゆめ美をデカパンラボへ呼んだ。
・・・
「十四松くん、デカパン博士に何の用があるの?」
謎な植物を栽培している設備を横目に、廊下を歩く二つの影。
「あのね、言ってなかったんだけど、今ここにチョロ松兄さんが入院してるんだ」
「え…、どうしたの!?けが?病気?」
「うん、なんかすっげー変な病気」
笑ってはいるがどこか陰りのある十四松の笑顔に、ゆめ美の心は不安でいっぱいになる。
「チョロ松くん、今どんな状態なの?」
「えっとね、心の病気なんだって。毎日シコシコ言いまくってて——」
十四松は、"ニートと童貞を拗らせきった自意識ビッグバン病"について、知っていることをありのまま全て伝えた。
ゆめ美はショックのあまり目に涙を浮かべ、口元を手で覆う。
「そんな…!なんでチョロ松くんがそんな大変な病気に…!」
「ぼくもよくわかんない。でもね、治し方閃いたんだ!それはね…」
と、十四松が独自の治療法とやらを言いかけたところで、ちょうどチョロ松がいる部屋の前に着いた。