第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
トド松はよほどこの場から早く離れたかったのか、音速でモヤの中へ飛んで行った。
「おおぅ速いねトッティ!!」
十四松も負けじと全速力で後を追う。だが無重力が楽しすぎて、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、本来の目的を忘れ寄り道をしまくった。
・・・
「あっははー!あーー楽しかったー!」
思う存分モヤの海を泳いだ十四松。そろそろトド松と合流しようと辺りを見回した。
すると、モヤが薄れ暗くなっているところから、僅かに覚えのある匂いがした。
途端、十四松の顔つきが変わり、口に手を当てて分析を始める。
(ぼくは知っている、この匂いを…、この、兄弟一童貞を拗らせきった青臭さは…!)
「チョロ松にーさん!」
新たな深層心理かもしれない——そう思い、匂いを辿っていった。
ひたすら進み続けると、目の前に広がるのは辺り一面真っ暗闇の世界。
「チョロ松にーさーん!十四松だよーーー!!」
まるでブラックホールのように全てを飲み込んでしまいそうな漆黒の闇に、流石の十四松も恐怖を覚える。
「チョロ松にーさんどこー?」
「チョロ松にー……っ!!」
と、足元に光る何かを見つけ視線を落とす。
十四松は驚き目を見開いた。
光の正体はチョロ松だった。