第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
やっと見つけたチョロ松は、手のひらサイズで蛍のように淡い黄金色の光を放っていた。元気がなく、ガタガタ震えながらうずくまっている。
「ちっさいチョロ松にーさん!大丈夫?」
ちっさいチョロ松は、今にもその弱い灯火を消してしまいそうなほど衰弱している。
「ゆめ美ちゃん…ゆめ美ちゃん」
チョロ松は、消え入りそうな声で何度もゆめ美の名を口にする。
「ゆめ美ちゃん…、大好きだよゆめ美ちゃん…。でも、こんな僕じゃ君に相応しくないよね…。待ってて…。僕さ、ちゃんと就職したら告白する。君を好きだって伝えるよ。上手くいくか分からないし不安だけど。でも、信じてほしい。僕の気持ちは本気なんだ。僕は…誰よりもゆめ美ちゃんのことが……」
「そっか…これが——」
(これがたぶん、チョロ松にーさんの本当の気持ち。本当に叶えたいお願い…)
胸の中にざわりと湧き起こる黒い感情を、十四松はブンブン首を振って消し去った。
(ぼくの気持ちなんか……)
「十四松兄さーーん!!どこーー?」
「おおぅ!」
驚いた十四松のアホ毛がピンと伸びる。
どうやら、時間が経っても戻ってこない兄を心配し、トド松が探しにきたようだ。
「十四松にーさんってばー!」
「今行くーー!!」
と、声を発した瞬間、トド松の顔の前に到着する十四松。
「わぁぁあっ!?び、びっくりしたぁ!一人でどこ行ってたの?なんか手がかりあった?」
「あっははー、迷っちゃった!なんもない!なんもなかったよー!ほんとのほんとのほんとになーーんにもなかった!」
「……ふーん、そう。兄さん達向こうに集合してるよ。早く行こっ」
「あいっ!」
十四松は、滅多につかない嘘をついた。
心の中に蛍火のチョロ松を大事にしまった。
希望の光を強く灯してあげるのは自分なんだ——と、胸中で必死に嫉妬と戦いながら。
チョロ松ルート2へつづく