第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
しばらく求人誌を眺めていたチョロ松だったが…
「あーぁ、ダメ。全然ダメ。僕の琴線にふれる仕事全くない」
「は?」
うっかり声を出し、慌てて口を押さえる一松。だが、チョロ松は一松の声や姿に反応せず、ひたすらページをめくっている。
(そうか、おれはこの記憶の中では存在してないんだ)
それなら堂々としてても平気だろうと判断した一松は、横で胡座をかきながら見守ることにした。
一松の横でチョロ松は、職探しを諦めたのか、ごろりと仰向けになって天井を仰いだ。
「アレかなー、トト子ちゃんを事務所に入れて、それに僕がくっついていって正規のマネージャーとして雇ってもらうとか?いやいや、さすがにそれは夢見すぎか。てかさ、僕が就活してる間にみんな何してんだよ?またパチンコ?競馬?平日真っ昼間から酒?危機感無いのかな?ホント僕って六つ子の良心。良心ってゆーか常識担当。そりゃあさ、僕だって出来れば働きたくないよ?でもさ、とりあえず形から入らないと。神松の一件以来、母さん時々眼鏡の奥の瞳ヤバいからね」
「……」
「トド松の真似してスタバァとかどうかな?うーん……いや無理無理っ。死ぬほどオシャレだし、お客さんも働いてる人も天上人だし。自分と同レベルの人間が巣食う職場じゃないとメンタル破壊されそう。女子大生と知り合いになれるのはポイント高いけど、僕的にはそーゆーのって意識して出会うんじゃなく、自然に身を任せた結果ってのが理想なんだよね……あ!」