第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
おそ松とカラ松がチョロ松ジャーマネを発見した頃、一松が訪れていたのは松野家の二階にある自分達の部屋だった。
ふわふわと壁や襖をすり抜けて気分は幽霊だ。
部屋の中央にはチョロ松が一人ぽつんと座っていて、なんかの雑誌を眺めている。
その横にはティッシュ…。
(…これ、ハズレだ)
なんでよりにもよって、シコ松がシコ松たる所以を目の当たりにしなければならないのか。やっぱ自分は不幸の星の下に生まれたんだ、戻ろう——と、違う思念へ向かうために背中を向けた時、
「ヘックシュンッ!!」
「っ!!」
唐突なチョロ松のくしゃみが一松の動きを止める。
(風邪…?)
一松が振り向くと、チョロ松は鼻をかみながら視線を雑誌に縫い付けていた。雑誌を読みながらブツブツと独り言を言っている。
「ったく。ヤバいって。六人全員無職童貞とかおかしいから。僕がしっかりしないと…!僕だけでも…ックシュン!!」
(なにこれ?願望?妄想?トラウマ?よく分かんないけど、おれが見てるのはチョロ松兄さんの記憶…なのか?)
一松が雑誌を覗き込めば、チョロ松が読んでいるのは求人誌。気になったのであろう仕事のページに、片っ端から付箋を貼っている。