第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
おそ松とカラ松が入り込んだのはコンサート会場だった。何万人もの観客がひしめき合い物凄い熱気だ。二人はサイリウムの海の上をふわふわ漂いながら、煌びやかなステージに目を向ける。
「まぁ、予想してたっちゃしてた」
「だな」
ステージ上には、アイドル衣装に身を包んだ橋本にゃーとトト子の姿があった。観客の声援に応えるように精一杯歌って踊っている。
アイドル二人がハプニングで片乳ポロリでもしないかとヨダレを垂らしながら凝視するおそ松だったが…
「あれ?一人たりなくない?」
「あぁ、オレも同じことを思っていた」
二人の予想では三人グループだった。だがステージにゆめ美の姿はない。
「あいつにとってゆめ美ちゃんはアイドルじゃねーってことか?」
「ならば、チョロ松にとってゆめ美は…」
何かを言いかけて口を閉ざすカラ松。
「………ま、とりあえず早くあいつを見つけねーと」
「そう、だな」
おそ松が流してくれたことに密かに感謝しつつ、カラ松は観客席に視線を落とした。数万人の中からチョロ松を見つけるのは困難だがやるしかない。
しばらく二人で探し回っていると、ついにおそ松がステージ脇に緑のスーツを着たチョロ松を見つけた。呑気に鼻の下を伸ばしている弟めがけ飛んで行く。
「チョロシコスキー!ねぇねぇ俺俺俺だよー!お兄ちゃんだよー!」
「よせおそ松!下手に刺激しない方がいい!」
「こんな妄想してねーでさ、正気に戻って遊んでよ〜ぅおっ!?」
おそ松がチョロ松の肩を叩こうとすると、腕が空振りしよろけてしまった。どうやら、思念の世界は見ることしか出来ず、触れたり話しかけたりは一切出来ないらしい。