第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
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ひとしきり診察を終えたデカパンは、重苦しい表情で耳から聴診器を外し、首を横に振った。
「これは…大変ダス…本当の本当に大変ダス。大変すぎるダス」
「いや大変だから来てんの。しつっこいよ」
苛立ちをぶつけるトド松をおそ松が手で制止する。
「んで博士、チョロ松の容態はどうなの?」
「非常に困ったダスね。これはさくらんぼ病——別名、ニートと童貞を拗らせきった自意識ビッグバン病ダス」
「くっ…なんて恐ろしい病名なんだ」
おそ松が唸るように呟くと、弟達も恐怖で顔を引きつらせた。デカパン博士は、禿げ上がった額に汗を浮かべながら続ける。
「シコシコ言い続けるのは初期症状ダスが、チョロ松くんの思考は理想と現実の境目を失いかけていて物凄く危険な状態ダス!このまま放置していれば、家でゴロゴロしながら画像を加工して『マブダチとBBQしてまーす!』って嘘偽りをSNSで呟いたり、自称マイチューバーになってクソ寒い排他的な内輪ネタを投稿し始めるダス!」
「そんな…っ!ボクらに害悪撒き散らすの!?ボク怖い…怖いよ十四松にーさーーん!!」
「怖いねトッティーーーッ!!」
恐ろしさのあまり抱き合う末松を横目に、おそ松とカラ松はデカパン博士へ質問を投げかける。
「ヤバイのは分かったけど、どうすれば治んの?」
「何か薬とかはあるのか?」
こういう時はちゃんとお兄ちゃんな二人なのだ。
一方、終始無言を貫く一松はジッとチョロ松を見守り、汗ばむ身体をタオルで拭ってやっている。
心配なのはみんな同じ。
みんな、自分なりの方法でチョロ松を思いやっているのだ。