第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
トド松の場合
「あれ?ユメ…?」
「トッティ…」
ピンクのポロシャツを着た王子様がゆめ美の元へ舞い降りた。王子様はいじっていたスマホをポケットにしまい、潤んだ黒目をゆめ美へ向ける。
「どうしたの?こんな時間に一人なんて危ないよ?」
「なんとなくここでボーッとしてたくて…って、その目どうしたの!?」
ゆめ美が顔を上げると、そこには泣き腫らした瞳があった。
「どうもしないよ?」
「目…腫れてる…ちょっと待ってて」
ゆめ美は立ち上がり、バッグからハンカチを取り出すと、水で濡らしてからトド松のまぶたにあてがった。
「わぁ、ヒンヤリしてきもちいい」
「たぶん寝たら次の日には腫れ引いてると思うから」
「ありがとう…ユメ」
目元にハンカチをあてながら、恥ずかしそうに微笑むトド松。
「みんなと何かあったの?」
ゆめ美がそう尋ねると、バツの悪そうに「ちょっとね」と言いながらトド松は隣に腰掛けた。
「兄さん達の悪ふざけ」
「悪ふざけ?」
「そ。青鬼のマネして追いかけてきて、ボクが怖がるのを見て楽しんでんの。趣味悪すぎでしょ!しつこいから逃げてきたんだ」
そういえば、トッティはものすごく臆病だったな、とゆめ美は思い出した。
・・・
しばらくゆめ美に愚痴をこぼしていたトド松だったが、自分ばかり話していたことに気づきゆめ美の話題へ切り替える。
「…で、ユメは何かあったの?ちょっと元気ないように見えるけど」
「私は、仕事でミスしちゃって」
「ミス?どんな?話してみて」