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おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!



「虫キライなの!?」

「ち、違うの…私の心が弱いばかりに…」

「えーそーなの!?弱いの!?」

「う、うん、じゃあ私はもう帰るから」


フラフラと立ち上がるゆめ美を、心配そうに見つめる十四松。ヨロけながら歩くゆめ美の横に並んで歩き出す。


「送ってこうか?」

「でも十四松くん虫取り行くんでしょ?」

「うん!そうだ四丁目だよね、ゆめ美ちゃんちって?」

「うぅっ!」

「おおぅ今のもアウトっすか!?」


またしても精神的ダメージを負ったゆめ美は、苦痛に眉根を寄せながらも無理して笑顔を作った。


「ご、ごめん…十四松くんはなにも変なこと言ってないから気にしないで。もう大丈夫だから」

「気にするけど分かった!もう気にしない!」

「…で、私の家四丁目だけどそれがどうしたの?」

「餌仕掛けておいたの四丁目の林なんだ!ゆめ美ちゃんも虫見てくー?」


無邪気な瞳がゆめ美を射抜く。


「でっかいカブト捕まえたらあげるよ!」

「ふふっ、カブトはもらっても育てられる自信ないからいいけど…」


子供のように純粋な十四松。そんな彼と話しているだけで、ゆめ美の気持ちは軽くなっていく。


「じゃあ、ついて行ってみようかな!」

「やったぁー!!」


静かな夜に、十四松のはしゃぐ声は実によく響いていた。



・・・



「へぇ、すごーい」


近所にこんな広い林があるなんてゆめ美は知らなかった。


「こっちだよ!」


麦わら帽子にガムテープで懐中電灯をつけた十四松がズンズン林の中を進む。
と、十四松はあらかじめ餌を塗っていたクヌギの前で立ち止まり、幹を照らした。


「カブトいたーーッ!!」

「よかっ……キャーーーッ!?」


ゆめ美は知らなかった。
仕掛けのエサに、カブト虫やクワガタだけでなく、ゴキブリ、蛾、カミキリムシetc…おぞましい虫が群がることを…。


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