第4章 内面を充実させる為にまずは外見から高めていかないとね?
「さっきはすまなかったな。本当に怪我は無いか?」
「うん大丈夫だよ。取り合いになるほど喜んでくれるなんて、伯父さんもコック冥利につきるよね」
「フッ、そういうことにしておいてもらおう」
「そういうこと?」
「なんでもない」と言うと、修復中の生地を見てううんと唸る。
「ダメだな。これでは縫い目が目立ってしまう」
「適当でいいよ?伯父さんも応急処置って言ってたし」
「いいや、キミが着るのに適当など出来るわけがない。よし、オレのとっておきを見せてやろう」
「あの…そんなに大袈裟なことじゃないと思うんだけど…」
カラ松にとっては大袈裟ではなく一大事だった。
まず、密室で女子と二人きりというシチュエーションになること自体、彼の人生において大事件なのだ。
(オレは探し続けていた。オレだけのデスティニーを…!オレに味噌汁を毎日作ってくれるマイハニーを!長い旅路の果てにオレはついに、ついに辿り着いた!ゆめ美ちゃん…キミというオンリーワンに…)
カラ松は恋の予感に胸を弾ませ、心の声もいつにも増してイタかった。