第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
チョロ松の場合
「ゆめ美ちゃん、ど、どうしたの!?」
「チョロ松くん…」
チョロ松はつぶらな瞳を見開いて驚いている。
「あの、ダメだよ、女の子が夜の公園に一人とか!」
「ちょっと休憩してただけ。もう帰ろうかなって思ってたとこ。チョロ松くんはどうしたの?こんな時間に一人でいるなんて珍しいね?」
まさかゆめ美に会えると思っていなかったチョロ松は、嬉しすぎる現実を直視できず明後日の方向を見ながらまごまごと返事を探す。
「えっと、ぼぼ、僕は…みんなのいびきがうるさくて寝れなかったから、散歩してたんだけど」
ちらっとゆめ美を見て続ける。
「僕も、そろそろ帰ろうかなって思ってて…」
「家まで送って行くよ」と自分から言いたくてもプライドが邪魔をする。断られるリスクを恐れ、チョロ松はもじもじと俯いてしまった。
そんなチョロ松を見て、ゆめ美から一歩踏み込んだ。
「じゃあ…よかったら一緒に帰らない?」
その一言で、チョロ松の表情がぱぁっと月に負けないくらい明るくなる。
「い、いいよ!ははっ!たまたまゆめ美ちゃんちの方へ遠回りして帰る予定だったから送ってくよ!」
二十代の癖に心は思春期真っ只中な二人による、夜の散歩が始まった。