第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
カラ松の指がゆめ美の髪を優しくとかす。ゆめ美は猫になった気分になって、このまま本当に猫になれたらいいのになんて、叶うことのない願望に胸を焦がす。
生足膝枕はカラ松の体温を直に感じ取れて、不思議とゆめ美に安心感を与えていた。膝に頭を乗せたまま、カラ松を見上げ話しかける。
「カラ松くんありがとう。なんだかすごく落ち着く。でも…」
彼女じゃないのに、こんなに甘えちゃっていいの?——と言いかけて口をつぐむ。ゆめ美は聞く勇気を出せずに小さく息を吐いた。
「『でも』なんだ?」
「…なんでもない」
「フーン、そうか、子守り歌だな?いいだろう」
「子守り歌!?いいよそんな!」
「遠慮するな。ほら、目を閉じて…」
恥ずかしがり抵抗するゆめ美を、カラ松は五分かけて説き伏せた。
ゆめ美は頬を紅潮させながらも言われるがまま瞳を閉じる。
ゆめ美が目を瞑ったのを確認し、カラ松は歌い始めた。
〜♪
オーマイリルカラ松ガールとか己との戦いとか雑踏の中孤独を抱きしめ歩くとか、よく意味が分からない歌詞がゆめ美の耳に入ってくるが、その歌声はとても優しくて色っぽかった。
(あれ…なんだか…私……)
美声に聴き惚れて、ゆめ美は夢心地になる。
(カ…ラまつ…くん…)
まどろむゆめ美を、歌声と頭なでなでが夢の中へといざなっていく。
(……私…もしかして、カラ松くんが——)
イタイ子守り歌が、二番のBメロに入ったところで、ゆめ美は眠りについていた。
・・・
「ゆめ美」
歌を止め名前を呼ぶが、聞こえるのは寝息のみ。
「もう眠ったのか。やはり相当疲れてたんだな」
愛らしい寝顔を見つめれば、胸の中に熱い思いが込み上げるが、カラ松は必死に閉じ込めた。
今はゆっくり休ませてあげたい。それに…
「さて、ハニーが起きるまでに、今度はこいつをオネンネさせないと…な」
カラ松のカラ松ボーイは既にギンギンだった。
(フッ、参ったぜ…)
どんなにキザに振る舞っても、やはり下半身は愛すべき童貞くんなのだった。
カラ松の場合 完