第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
カラ松は額に手を当て顔を隠す。
「てっ、照れてなどないさ!」
どうやら何が何でもカッコつけたいようだ。その必死な様子がなんだか可愛くて、ゆめ美はカラ松の顔を覗き込んだ。
「そうだね、求めてたというか、会えると思ってなかったから嬉しい。ありがとう」
「っ!!」
六つ子と仲良くなる前は、ゆめ美はこんな台詞きっと言えなかっただろう。他人に遠慮し控えめに接していたゆめ美だったが、六つ子と打ち解けて随分素直に自分を表現するようになっていた。
マブいゆめ美を直視出来なくなったカラ松は、咄嗟にサングラスをかけてベンチにもたれかかった。
そこで、先ほど遠回しすぎて全く伝わらなかったメッセージを、今度はストレートに投げかける。
「元気がないように見えるが、何か悩みでもあるのか?オレでよければ相談に乗ろう」
「うーん、そんな大した話じゃないんだけど…」
「聞かせてくれ」
「う、うん…」
サングラスから覗く瞳が妙に色っぽくて、ゆめ美は少し照れながら、仕事でのミスをカラ松に打ち明けた。
カラ松は聞き終わるとフーンとため息を一つ。
「そうか。それでそんなに思いつめた表情をしていたのか」
「ちょっとね、今回のは流石に自分に呆れちゃって」
「きっと疲れてるんだ。そういう時は何も考えずに休んだ方がいい」
そこでカラ松は少し考える素振りを見せ、
「ゆめ美、少し横になってみろ」
「え?ここで?」
「そうだ」
ペチペチと自身の太腿を叩いている。
「ひ、ひざまくら!?」
「フッ、カラ松ピローリミテッドお前だ。どうした?早く頭を乗せるんだ」
「でも、恥ずかしいよっ!」
ちなみに、短パンなので生足だ。
「嫌か…?」
サングラスを外し不安げに揺れる瞳。普段あまり見せない表情をしたカラ松は、ゆめ美の胸を妙にドキリと高鳴らせた。
「——じゃあ、ちょっとだけ…」
「あぁ」
「失礼します…」
ゆめ美は恥ずかしさを押し殺し太腿に頭を預ける。すると、カラ松の大きな手がゆめ美の頭を優しく撫でた。