第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
カラ松の場合
「ゆめ美!」
「カラ松くん…」
カラ松はゆめ美に近づくと、側にあった街灯に手をつき無駄にキラッキラした瞳でゆめ美を見つめた。
「やれやれ、こんな夜更けにこんなところでゆめ美に会えるとは………これが引き寄せの法則…か」
「ええと、一人で公園なんか来てどうしたの?」
「フッ、星々の囁きに耳を傾けたくなってな。散歩していたんだ」
何を言ってるのかイマイチ理解できなかったゆめ美は、とりあえず「そうなんだ」と返し、カラ松の全身を眺めた。
七月半ばの蒸し暑い夜なので当然薄着なのだが、カラ松の散歩コーデは顔つきクソタンクトップとショートパンツ、尖ってキラキラした靴で、兎にも角にも相変わらずだった。
すごく目立つ服装だなぁとゆめ美が感心していると、見られているのに気づいたカラ松はモデルのようにポージングを何パターンもお披露目しだす。
「なんか、すごくキラッキラだね」
「べつに…フツー」
「そっか…」
ゆめ美はそれ以上何も言わず、夜空を振り仰ぎシャイニングスターとやらを探した。だが、月が明るくて星があまり見えない空だった。
「ところで、ゆめ美こそ夜の公園で何をしてたんだ?」
「考え事してたらこんな時間になっちゃって」
いつの間にかカラ松は、ゆめ美の隣に足を組んで座っている。
「なるほど……つまり」
と、夜空を見上げながら、指をパチンと鳴らした。
「…静寂と、孤独」
「?」
「…とにかくもう、学校や家には帰りたくない」
「学校?う、うん、学校はもういいや」
「…己の内なる声に耳を傾けていた?」
「うん?」
「…そして、このオレ、カ、カラ松をもも、求めてた………ビンゴー?」
「どうして最後だけそんなに照れるの?」
他の台詞の方がよっぽど恥ずかしいと思うけど——と胸中で付け加えるゆめ美。