第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
イチャつく二人を見ていられず、チビ太は意味もなくおでん汁をおたまで掻き混ぜだした。
ゆめ美は、おそ松が六つ子の長男だったのを今更ながら思い出す。
(お兄ちゃんだからかな。不思議な包容力があって、一緒にいると安心出来て、悩みなんか吹き飛んじゃいそう)
なんてゆめ美が思ったのも束の間、
「んじゃそろそろ、んーーっ」
「えっ!?ま、待って待って!」
「待てなーいもう俺我慢のげんかーい」
おそ松はゆめ美の頬を両手で包み込んだまま、ゆっくりと顔を近づけキスをせがむ。
ゆめ美の目と鼻の先には、酔ってトロンとした瞳のおそ松。
「だ、め…っ」
唇を奪われそうになり、ゆめ美がギュッと目を閉じた瞬間、おそ松の身体が宙に浮いた。
「オラァァァァア!!」
「ボェバァッ!!」
ダッシュで現れたチョロ松の膝蹴りがおそ松の顔面を抉った。
チョロ松はチビ太とゆめ美にペコリと頭を下げると、気絶した兄をズルズル引きずりながら帰って行った。
「あ、あれ…?」
思考が追いつかず呆気に取られているゆめ美に、チビ太はビールを注ぐ。
「気にすんな。あいつらにこっちの常識なんかてんで通じねーんだ」
「そう…なんだ」
その後、ゆめ美は静かな夜を過ごし、美味しいおでんに癒されたのだった。
おそ松の場合 完